乳がんの診断・治療について

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乳腺外科 / 治療案内

乳がんの診断・治療について

乳がんと診断されたとき、「これからどうなるのか」という不安は自然なことです。当院では、最新のガイドラインに基づく標準治療を提供しながら、患者さんひとりひとりの状況・希望・価値観を大切にした治療方針を、チーム一丸で一緒に考えます。

Step 1

診断・病期(ステージ)の確定

乳がんが見つかったら、まず病期(ステージ)を確認します。病期は腫瘍の大きさ・リンパ節への転移・遠隔転移の有無によって0〜Ⅳに分類され、最適な治療方針を決める基盤となります。

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組織診断の確定

針生検・マンモトーム生検・VABで採取した組織を病理検査し、がんの種類・サブタイプ(ホルモン受容体・HER2・Ki67など)を確定します。サブタイプが治療の方向性を大きく左右します。

ホルモン受容体(ER/PgR)HER2タンパクKi67(増殖能)病理組織型
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画像検査による病期評価

乳房MRI・CT・骨シンチグラフィなどで、腫瘍の広がり・リンパ節転移・遠隔転移の有無を評価します。MRIは多発病変の確認にも重要です。

乳房MRICT(胸腹骨盤)骨シンチPET-CT(必要時)
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カンファレンス・治療方針の決定

外科・腫瘍内科・放射線科・病理科・看護師・薬剤師など多職種が参加するキャンサーボードで、個々の患者さんの病態に応じた最適な治療方針を議論し決定します。患者さんへは結果を丁寧にご説明します。

キャンサーボード多職種カンファレンスインフォームドコンセント

Overview

治療の全体的な流れ

乳がんの治療は、手術・薬物療法・放射線治療を組み合わせて行います。病期・サブタイプ・患者さんの希望によって順序や内容が変わります。

手術療法
温存術・全切除・センチネル生検
薬物療法
ホルモン・化学・抗HER2・免疫
放射線治療
連携施設にて実施
緩和ケア
診断時から並行して提供
術前に薬物療法(術前化学療法など)を行ってから手術を行うケース、手術後に薬物療法・放射線治療を追加するケースなど、病態によって組み合わせ・順序が異なります。担当医から丁寧にご説明します。

Surgery

手術療法・乳房再建

乳がんの手術は、腫瘍の大きさ・位置・病期・患者さんの希望などを総合的に判断して術式を選択します。当院では乳房温存を重視しながら、安全性と根治性のバランスを考慮した手術を提供します。

乳房温存術

腫瘍とその周囲のみを切除し、乳房を残す手術です。術後放射線治療(連携施設)と組み合わせることで、全切除と同等の治療効果が得られます。整容性を重視した切除を行います。

乳房全切除術

腫瘍が広範囲に及ぶ場合や多発病変の場合などに選択されます。乳房再建をご希望の場合は、専門の連携施設をご紹介します(後述)。

センチネルリンパ節生検

最初にがん細胞が転移するリンパ節を術中に確認し、転移がなければリンパ節郭清を省略します。リンパ浮腫などの後遺症を最小限にします。

腋窩リンパ節郭清

センチネルリンパ節に転移が認められる場合に、腋窩のリンパ節を広く切除します。術後はリンパ浮腫の予防・管理を継続します。

乳房再建について(連携施設のご紹介)

乳房再建(インプラント・自家組織による再建)は、形成外科の専門技術と施設基準が必要な治療です。当院では現在、乳房再建手術は行っておりませんが、再建を希望される患者さんには、形成外科を擁する連携病院を責任をもってご紹介します。まずは当院での診察・診断を進めながら、再建の希望についても早めにお申し出ください。紹介先との情報共有・引き継ぎも丁寧に行います。

Drug Therapy

薬物療法

乳がんのサブタイプに応じて、最適な薬物療法を選択します。外来での治療を基本とし、日常生活を送りながら治療を続けられるよう配慮します。

化学療法(抗がん剤)術前・術後・転移

アントラサイクリン系・タキサン系などを中心に、病態に応じたレジメンを選択します。外来化学療法室での投与が基本です。

ホルモン療法ER/PgR陽性例

タモキシフェン・アロマターゼ阻害薬・LH-RHアゴニストなど、閉経状態に応じて選択します。経口薬が多く外来管理が可能です。

抗HER2療法HER2陽性例

トラスツズマブ・ペルツズマブ・T-DM1・T-Dxdなど、HER2陽性乳がんに対する分子標的薬を用います。化学療法との併用が標準治療です。

PARP阻害薬・CDK4/6阻害薬適応例に

BRCA変異陽性例にはPARP阻害薬(オラパリブなど)、HR陽性HER2陰性の進行例にはCDK4/6阻害薬(アベマシクリブなど)が適応となります。

免疫チェックポイント阻害薬TNBC例に

トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の一部に、ペムブロリズマブなどの免疫チェックポイント阻害薬が適応となります。

術前化学療法(NAC)手術前に投与

術前に化学療法を行い腫瘍を縮小させることで、温存術の可能性を高めたり、薬剤感受性を術前に確認したりすることができます。

Radiation Therapy

放射線治療(連携施設にて実施)

放射線治療は乳がんの治療において重要な役割を担います。当院には放射線治療装置がないため、放射線治療が必要な場合は連携する医療施設に紹介し、適切な照射が受けられるよう手配します。治療後のフォローアップは当院で継続して行います。

放射線治療の連携体制について

当院では放射線治療は行っておりませんが、放射線治療が必要と判断された場合には、連携する施設へ速やかに紹介します。紹介先では当院の診療情報を共有のうえ、患者さんの状態に応じた照射計画を立てていただきます。治療中・治療後も当院での定期診察を継続し、一貫したケアを提供します。

放射線治療が必要となる主な場面
温存術後:残存乳房への局所再発を防ぐため、乳房温存術後には原則として術後放射線治療を行います(外来通院・3〜6週間程度)。
全切除後・リンパ節転移陽性例:一定条件を満たす場合、胸壁・リンパ節領域への術後照射が推奨されます。
転移・再発時の緩和的照射:骨転移による疼痛緩和、脳転移への照射など、症状緩和にも放射線治療が有効です。
放射線治療の要否・時期・方法については、当院の主治医から詳しくご説明します。紹介先との連絡・調整も当院が行いますので、ご安心ください。

Genetics

遺伝性乳がん・HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)

HBOCとは

BRCA1またはBRCA2遺伝子に生まれつきの変異があることで、乳がん・卵巣がん・膵がんなどを発症するリスクが高くなる遺伝性の症候群です。乳がん全体の約5〜10%がHBOCと関連すると言われています。

若い年齢での乳がん発症(40歳未満)
家族に乳がん・卵巣がんの方が複数いる
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)と診断された
両側乳がん、または卵巣がんも合併している
男性乳がんの方

当院の遺伝カウンセリング

当院では乳腺専門医が遺伝カウンセリングを実施します。BRCA遺伝子検査の適否の判断から、検査結果に基づくリスク評価・治療方針の検討(PARP阻害薬の適応など)・家族への説明サポートまで、一貫して対応します。「遺伝のことが気になる」という方はお気軽にご相談ください。

Palliative & Advanced Care

緩和ケア・転移・再発時の治療

緩和ケアは末期の医療ではなく、診断された時から始まるものです。痛みや副作用など、身体的・精神的な苦痛を和らげながら、生活の質(QOL)を保った治療を続けることができます。

緩和ケアチーム

疼痛管理・倦怠感・不安・睡眠障害など、治療に伴う症状を多職種チームで総合的にケアします。診断時から外来・入院を問わず並行して介入します。

倫理チーム連携

治療方針に迷いが生じたとき、倫理的視点からの相談・支援を行います。患者さんの意思決定を尊重し、ご家族も含めて丁寧にサポートします。

転移・再発治療

骨・肺・肝・脳などへの転移や局所再発に対しても、薬物療法・放射線治療(連携施設)を組み合わせた治療を一貫してコーディネートします。

在宅・地域連携

在宅医療への移行が必要な場合も、地域の医療・介護チームと連携し、患者さんが希望する場所で安心して過ごせるよう支援します。

Team Care

チーム医療・多職種連携

多職種カンファレンス

外科医・病理科・画像診断・薬剤師・看護師などの関係スタッフが参加する定期カンファレンスで、個々の症例の治療方針を検討します。

専門知識を持つ看護スタッフ

化学療法・緩和ケア・がん相談などの経験を持つ看護師が、治療中の日常生活のサポートや心理的ケアを担当します。

女性のライフイベントへの対応

総合周産期母子医療センターとして、妊娠・授乳中の乳腺疾患、妊孕性温存、閉経後の骨粗鬆症管理など、女性ならではの課題にも対応できる環境を整えています。

地域・患者サポートセンター

治療・生活・仕事・お金のことなど、がんにまつわるあらゆる相談を無料でお受けしています。患者さんだけでなく、ご家族の相談も可能です。

地域・患者サポートセンターについて

Second Opinion

セカンドオピニオンへの取り組み

「もう一度、別の視点から聞きたい」に応えます

他院で診断・治療中の方が、当院の専門医に意見を求めることができます。また、当院で治療中の患者さんが他院でセカンドオピニオンを受けることも歓迎しています。主治医への遠慮は不要です。納得して治療を進めることが最も大切と考えています。

受診方法:まずはお電話にてご予約ください(0154-22-7171 内線730)。資料(紹介状・画像データ等)のご準備についてご案内します。

Survivorship

サバイバーシップ支援

治療が終わっても、乳がんとの関わりは続きます。治療後の生活の質(QOL)を高め、その人らしく生きることを支えるサバイバーシップ支援に取り組んでいます。

定期フォローアップ

再発・転移の早期発見を目的とした定期診察・検査を継続します

就労・社会復帰支援

治療しながら働き続けることへのサポート。社会福祉士・相談員が連携します

心理的サポート

治療に伴う不安・抑うつ・ボディイメージへの悩みに、心理士が対応します

妊孕性温存・妊娠支援

治療前の卵子・受精卵凍結など、将来の妊娠を希望する方への支援を行います

骨密度・内分泌管理

ホルモン療法による骨粗鬆症や更年期症状の管理を行います

リンパ浮腫ケア

腋窩リンパ節郭清後のリンパ浮腫予防・管理を専門的にサポートします

「疾患」だけでなく「ひとりの女性」として ― 全人的医療

釧路赤十字病院は総合周産期母子医療センターを擁しており、女性のライフサイクル全体に精通したスタッフとチームが揃っています。妊娠・出産・授乳期の乳腺疾患から、閉経後の健康管理まで、乳がん治療を超えた包括的なケアを提供します。

総合周産期母子医療センター 妊娠中の乳腺疾患対応 妊孕性温存支援 閉経後管理 女性技師による検査 心理的サポート

乳腺外科へのご予約・ご相談

乳がんの診断・治療についてご不明な点はお気軽にご相談ください。専門医が丁寧にご説明します。

乳がん早期発見・早期治療を応援しています
0154-22-7171
外科外来受付(内線730)
月〜金 8:30〜11:00
専門医外来(火・金 午後)は事前予約制